[金券ショップ向け] 外貨両替業務をはじめる3ステップ

JETCHECKERコラム編集部

2024年の訪日外国人数は過去最高の約3700万人を記録し (2024年度 日本政府観光局 月別・年別統計データ)、今後もますます伸びることが予想されています。

インバウンド観光客の急増に伴い、外貨両替業務を始める金券ショップが急増しています。以下では、金券ショップが外貨両替を始めたほうがよい理由と外貨の調達方法について、最後にまとめとして外貨両替業務を始めるための3ステップについてご紹介します。

金券ショップの市場規模は縮小傾向

いわゆる「古物商」のビジネスの中でも、インバウンド観光客にも支えられ、ブランド品の買取販売は好調を続けています。しかし、金券ショップは以下の3つの要因が影響して「右肩下がり」を続けています。

(1)ネット予約

「金券ショップで数百円を節約するよりも、スマホで即予約完了・チケットレス利用」の流れが強まっています。東海道新幹線では、これまで年会費が必要だった「エクスプレス予約」に加えて、2017年には年会費不要の「スマートEX」がサービスを開始し、現在では東海道新幹線ユーザーの3人に1人がネット予約で乗車しているとされています。

新幹線以外も、航空券、映画チケットなどがネット予約で先行し、最近では「紙に印刷された金券」ではなく、QRコードを利用した支払いが増加し、ますます金券ショップの必要性が減少しています。

(2)人口減少

日本は既に総人口が減少をはじめており、2018年には44万人が減少しています。総人口だけではありません。労働人口は特に1947年~1949年生まれの団塊の世代が還暦を迎え、大量退職の真っただ中です。

2016年の労働人口と、2020年の労働人口を比較すると、なんと244万人もの減少が見込まれています。人口が減る、ということは、移動をする人が減り、かつ出張で新幹線などに乗る層が大幅減少することを意味します。

(3)出張経理の透明化

「満額の交通費支給をもらい、金券ショップでチケットを安く買う」というやり方も、大手企業では既に終わりを迎えています。大手企業では、購買の集中化して購買ボリュームを交渉材料にディスカウントを要求、ならび経理の一元化・透明化を推し進めています。

また、中小企業であっても、航空会社などが企業ごとのIDを発行し、出張者が金券ショップではなく企業ごとの専用ホームページでそこでのみチケットを買うように誘導するようになっています。サラリーマンが金券ショップを使うことで、数百円、千数百円のお小遣いを得ていた時代はゆっくりと終わりつつあります。

金券ショップと外貨両替は親和性が高い

日本で唯一といってよい、急成長の産業は「インバウンド」です。しかし、金券ショップとインバウンド観光客は「親和性が悪い」と言われてきました。インバウンド観光客は、鉄道で国内移動するのであれば外国人向けの「Japan Rail Pass」を使う方が安いですし、多くの観光客は日本に来る前に、日本国内の国内線含めて、飛行機の予約を済ませています。

しかし、外貨両替という切り口で考えると、金券ショップとインバウンドの親和性は非常に高いのです。以下でみていきましょう。

(1)立地

多くの金券ショップは、利用客の多いビジネス街や大きな鉄道駅の最寄りにあります。このため。電車で降りて目的地に向かう外国人観光客が容易に目につきます。外国人観光客は、あえて日本国内の住宅地に宿泊することは少ないため、インバウンド観光客を狙う上ではこれ以上ない立地です。

(2)狭いスペースでもOK

金券ショップの多くが、ガラスケースの中に金券を並べただけの狭い店内、またはカウンターのみの店舗です。店舗の中に他のビジネス、例えば飲食店などを設けるすることはまず無理ですが、外貨両替であれば「外貨を入れておく金庫」「外貨の真贋鑑定機」、そして「レート表」さえあれば営業できます。いずれも、大した大きさではありませんので、金券ショップが取り組むビジネスとしては最適です。

(3)外貨両替は外国人のニーズが高い

観光庁の調査によると、訪日外国人の不満のトップ5に「両替」が入ります。外貨の両替ができる場所が、諸外国と比べて圧倒的に少ないのです。現状は、「インバウンド観光客は急増を続けているのに、外貨両替の高いニーズが満たされていない」という、ビジネスに参入するにはこれ以上ない状況です。

(4)真贋鑑定が容易

金券の真贋鑑定は常に悩ましい課題ですが、外貨両替の真贋鑑定は非常に容易です。当社のジェットチェッカーのような「紙幣計数機 兼 偽札鑑定機」があるため、機械に通るだけでわずか数秒で真贋鑑定が完了します。手作業で、金券ショップの店員が外貨紙幣を1枚1枚チェックするような真贋鑑定作業は不要です。

(5)どのスタッフでも取り扱いできる

真贋鑑定に手間がかかる金券やブランド品などと異なり、外貨は機械を利用して数秒で真贋鑑定が完了します。これはつまり、「金券ショップ勤務10年以上のベテラン」でも、「入社1週間のアルバイト」でも、同レベルの鑑定が行えるということです。

外貨両替であれば、「手間のかかる金券が持ち込まれたことを考えると、おちおち店を離れられない」といった金券ショップ経営者の悩みとは無縁です。

商材となる外貨の調達と売却について

外貨両替業務を始めるにあたり、商材となる外貨やその売却方法を準備する必要があります。

ここでは商材となる外貨の調達方法と、お客さまから買い取った外貨の売却方法(円転方法)について詳しく解説します。

1. 外貨調達方法について

(1) 銀行資本の両替店からの直接購入

日本の大手銀行が運営する外貨両替店舗から外貨を直接購入することで、信頼性の高い調達が可能です。

信頼度は高く、品切れのリスクが低いといえます。

その反面、販売レートは、総じてかなり高めに設定されているため、調達コストは高くなります。

なお、空港に併設している両替店も同様です。

(例) ワールドカレンシーショップ(三菱UFG銀行系の外貨両替店舗)

(例) グリーンポートエージェンシー(成田空港系の外貨両替店舗

評価項目 点数 コメント
両替レート 0点 高い、利益確保が難しい
在庫安定性 5点 品切れのリスクが低く、安定した調達が可能
紙幣の品質 5点 汚損の少ない高品質の紙幣を入手可能
スピード 5点 比較的空いており、店頭で即時両替が可能
手間 2点 店頭に出向く必要がある
安全性 2点 調達量によっては多額の現金を持ち運ぶ必要あり
総合得点 19点 銀行資本の両替店からの直接購入 の順位は
同率 第3位

(2) 外貨両替専門店やチケットショップからの直接購入

銀行系と同様に、実際に店頭に出向いて、直接購入する方法です。

銀行系の両替店舗と異なり、販売レートは業者によってかなりの差があります。

状況によりコストを抑えられる可能性がありますが、販売レートの確認と、業者の選定が重要です。

また、在庫切れのリスクも念頭にいれておくとよいでしょう。

(例) トラベレックス