JETCHECKERコラム編集部
インバウンド観光客の急増に伴い、外貨を受け取り日本円と交換する両替所や、外貨支払いを受け付けている小売店など、日本国内で外貨が利用される場面が増えています。2017年には、偽造された米ドル札が金券ショップで相次ぎ発見されています。多くの金券ショップでは両替業を行っており、偽札を受け取るリスクについては重々注意しているのに、受け取ってしまったのです。では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
「外貨に日常的に接しているので、偽札が来ても見抜くことができる」、そう思っている担当者は少なくありません。しかし、担当者の自信もむなしく、チェックをすり抜けて偽札をそのまま受け取ってしまう例が後を絶ちません。では、なぜ「外貨を日常的に扱う『プロ』」が偽札を受け取ってしまうのでしょうか。
紙幣の枚数や金種を数える「紙幣計数機」には、正しいお札かそうでないかを判別するための偽札鑑定機能が搭載されています。日本国内では、日本円の紙幣計数機は多数流通していますが、外貨対応の紙幣計数機はごくわずかで、かつ高額です。このため、「外貨の紙幣に1か所、2か所ブラックライトを当てて、正しく文字が浮かび上がってくるかどうか」だけでチェックしている両替所や小売業が多くあります。
紙幣の偽造防止テクノロジーが進んだ昨今、「完璧な偽札」は作りにくくなりました。このため、一般に出回っている偽札は「不完全な偽札」であることがほとんどです。しかし、この不完全な偽札であっても「よくチェックされる箇所にブラックライトだけに反応する文字や刻印」があれば、偽札を判別する機械を導入していない両替所では「正しい紙幣」として判断されます。
偽札を見つけ出す技術の進化と、偽札自体の進化はいたちごっこのようなものです。ある紙幣の偽札が流通したら、偽札を検知する機械側も、その偽札に対応した検知ロジックを更新するという具合です。しかし、安価な偽札鑑定機は、偽札検知ロジックの更新が不可能であったり、更新ロジック自体は作成されているが、利用企業に告知されないことがあります。
せっかく偽札を検知するための機械を導入し、外貨は全て通しているにもかかわらず、検知ロジック自体が更新されていなければ意味がありません。そして多くの偽札を受け取ってしまうことになります。
日本国内で営業している最大手の両替所チェーンの1社で、「何十通貨の両替対応」と広告されていたとしても、実は「偽札を機械で鑑定しているのは、わずか3外貨のみ」ということがよくあります。これは、機械に多くの外貨を登録すると、機械が高額になってしまう場合があるためです。よって、主要通貨のみは機械チェック、それ以外は「目で見て、ブラックライトを当てて1か所、2か所のみチェック」という不十分なチェックにならざるを得ません。
では、受け取ってしまった偽札はどうするのでしょうか。自身が気付かなかったとしても、偽札を使うのは犯罪です。よって、偽札を見つけたら通報する義務があります。しかし、調査をした限りでは、真面目に通報しているケースはほとんどありませんでした。対応は以下の2種類に分かれます。
自分たちのチェックを潜り抜けた偽札なので、銀行でもばれないだろうと判断し、他の紙幣とまとめて銀行などに持ち込みます。そして、運が良ければ偽札であることはばれませんが、もしばれた場合、特に「意図的に持ち込んだことが判明した場合」は、懲役刑を含む刑事罰の対象になったり、取引金融機関からの取引停止といった処分が下る可能性があります。
持ち込んだ紙幣に偽札があることがばれた場合、1度や2度であれば銀行などの金融機関は単に「受け取り拒否」するだけです。しかし、偽札が混じった紙幣を持ち込む回数が多い場合は、金融機関も「この会社は怪しい」と判断され、金融機関の判断で通報、または取引停止となる場合があります。
ちなみに、偽札が判明した場合、真面目に通報する企業もあれば、そうでない企業もあります。なぜ通報しないのか、それは「偽札と判明した金額がそのまま損金となる」ためです。これを避けるために、金融機関などと比べてチェックが緩そうな両替商に持ち込んで、別な通貨に両替している同業他社も多くいます。
偽札は受け取ってしまった場合、偽札であることに気づいても、気づかなくても面倒なことになります。外貨での取引量や両替量が多い大手企業であれば痛手は少ないのですが、中小企業・零細企業になると「偽札の外貨が何十万円分持ち込まれ、知らずに受け取ってしまった」だけでも、経営に大きな打撃になります。これを避けるには、はじめから「偽札を絶対に受け取らない」対策が必要です。
お伝えした通り、人間の目チェック、ブラックライトを当てて1枚1枚のチェックでは、不十分です。北朝鮮のような国家機関が印刷する偽札は、製造技術も極めて高く、今後も偽札の印刷技術は進化し続ける可能性が高いためです。そうなると、「1か所ブラックライトを当てて文字が浮かび上がったから、OK」という簡単なチェックだけで偽札を防ぎきれません。
どうすれば防げるか。それは、受け取る可能性がある、あらゆる通貨を機械でチェックすることです。当社が提供するジェットチェッカーは、ドイツ連邦銀行をはじめ、中国の大手三銀行(中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行)などでも利用され、日本に比べて偽札の多いヨーロッパや中国で、偽札の検知に活躍しています。大手の銀行では、1日数百万札のお札をジェットチェッカーで数えていますが、故障も非常に少なく長時間稼働可能です。
ぜひ、貴社のリスク回避に世界の大手銀行が認めたジェットチェッカーを検討し、「偽札を絶対に受け取らない」体制構築にお役立てください。